印刷用紙の紙目とは一体何か?

皆さん印刷用紙で紙目(かみめ)っていう言葉がありますが、ご存知でしょうか?

紙はパルプという木材原料から造られます。このパルプから抽出された繊維が印刷用紙を造る過程で流れ目という繊維の向きに沿って製造されます。よってこの繊維の流れる目を紙目と呼んでいます。

印刷用紙にはこの紙目が実は重要な役割をしており、用紙を発注する場合は紙の銘柄と厚みや数量(連量)などと一緒に紙目を選択する必要があります。

この記事の内容について

●紙目にはT目(縦目)とY目(横目)が存在します
●印刷物を作成するにあたり紙目で注意するべき点
●印刷用紙によっては紙目が限られている場合がある
●まとめ

プリプロ編集長

今回は紙の目(紙目)についてのお話です。
繊維の方向で紙の目が決まっています。この目を無視するとトラブルに繋がることもありますので注意が必要です。

目次

紙目にはT目(縦目)とY目(横目)が存在します

紙目には2種類の流れが存在しており、T目(縦目・たてめ)Y目(横目・よこめ)と呼ばれています。

T目(たてめ)は全紙の長辺に対して平行に繊維が流れているものを言います。

逆にY目(よこめ)は全紙の短辺に対して平行に繊維が流れているものを言います

紙を発注する時にこの縦目や横目を選ぶことが、製本や加工において重要なポイントとなります。

プリプロ編集長

次に具体的に紙目でどのような注意が必要かを
ご説明していきます。

印刷物を作成するにあたり紙目で注意するべき点

では実際に印刷物を作成するにあたり、紙目で注意するべき点をご紹介していきます。

基本的には折り加工や製本のあるパンフレットや大きなポスターを作成する場合には注意が必要となります。

A4サイズの2つ折りパンフの場合は真ん中で折り加工をする事になります。紙目に沿って折る必要がありますので、この場合は紙目は横目を選択する事になります。

A4サイズの中綴じや無線綴じのパンフレットを作成する場合も背に沿って折る必要がありますので、紙目は横目となります。この場合印刷物がめくり易くなる為やページを開くときに違和感なく開ける為でもあります。このように紙目に沿って折り加工を行われることを順目(じゅんめ)と表現します。

逆に紙目を反対で使用した場合はどうなるかと言いますと、折り加工の場合は目に逆らう形となりますので、当然折りにくく、シワや割れの原因に繋がります。また製本する場合も目が逆の場合開きにくくなることもあります。このように目が逆になる事を逆目(ぎゃくめ)と表現します。

ポスターは折り加工が無い場合はどちらの紙目でも良いのではと思いますが、縦型でA1サイズなどの大きな場合は縦目の方が貼り易やすくなります。ただ納品の際に、紙筒にいれて丸める場合は横目の方が丸めやすいこともありますので、状況によりけりとなります。

簡単に紙目の向きを確認するにはどのようにするかと言いますと、手ごろなサイズの印刷用紙を破るとスムーズに破ける方が紙目の向きとなります。逆に真っすぐ破れず、ガタガタ破れるようであれば目が逆になっているという判断になります。

例として挙げられるのが新聞紙で、新聞紙を広げて縦方向に破れば簡単に破れます。この場合長辺に紙目があるので縦目の紙を使用している事となります。

別の方法では水で軽く濡らしてみた場合に紙目に沿って平行にカールしますので、カールする方向がその紙目となります。

印刷用紙によっては紙目が限られている場合がある

では紙には縦目と横目あると説明してきましたが、すべての印刷用紙で縦目、横目が揃っているかというと実はそうではありません。もちろんポピュラーなコート紙やマットコート紙、上質紙などは頻繁に使用されることも多いので、双方の目が揃っていますが、特殊紙などは横目しかない場合や縦目しか製造していない場合もありますので、必ず紙の見本帳などで紙目の確認を行った方が良いと思います。また紙のサイズ(四六判や菊判など)によっても紙目が片方しかない場合もあります。

コート紙の紙サンプル見本

上記画像はコート紙の見本帳例ですが、右上のサイズ表記のところに四六判、B判T、菊判、A判と表記がありますが、この場合B判にTの表記がなされています。B判サイズの紙はT目(縦目)しか無いという意味になります。他のサイズではすべて縦目、横目が揃っていることになります。

ヴァンヌーボVの見本帳例

こちらは特殊紙になるヴァンヌーボⅤの見本帳ですが、四六判サイズにはY目の表記しかありません。つまり四六判サイズでT目(縦目)は製造されてないいう事になります。逆に菊判サイズはT目(縦目)Y目(横目)双方に揃っていますので、どちらの仕様でも問題はありません。

四六判サイズ(788×1091㎜)菊判サイズ(636×939㎜)など紙には規定サイズがありますが、一般的にはあまり聞きなれない言葉だと思います。四六判サイズはB系列のパンフやポスターなどで使用されることが多くなります。B4サイズのパンフを作成する場合に横目を使用したいが…縦目しかないという場合は困りますので、あらかじめ見本帳でサイズと紙目を確認する方が良いかと思います。

プリプロ編集長

紙の種類は非常にたくさんありますので、必ず印刷媒体の仕様に応じて
紙目の有無を見本帳で確認する方が良いと思います。

まとめ

今回は印刷用紙の紙目についてご紹介してきました。割とマニアックな題材ではありますが、印刷会社に従事していますと頻繁に耳にします。一般的にはあまり知られていない事ではありますが、印刷する上で結構重要な要素となります。

普段日常的に何気なく印刷物を使用すていますが、紙目が合ったいるからこそ、使い勝手が良かったり、見栄えが悪くならずに出来上がったりしておりますので、今回の機会で頭のすみっこに置くぐらいで認識して頂ければ良いか思います。

おさらいで紙目についてもう一度確認をしておきます。

① 紙目とは紙を形成している繊維の流れ目でその目に沿って縦目や横目が存在します。

② 紙目は折りやすい、破れやすい方向に目が沿っておりこれを順目と言います。また逆に折りにくい、破れにくい方を逆目と呼んでいます。

③ 紙によって縦目や横目の有無があり、またサイズによっても縦目や横目の有無がありますので、見本帳などで確認を行う方がベターです。

以上となります。少しでも紙についての知識が身につけば印刷物を見る目も変わるかとは思います。
最後までご覧頂きありがとうございました。

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この記事を書いた人

製版・印刷関連の営業職を20年以上続けており、
日々の仕事で経験した色々な知識やエピソードを紹介していきます

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