パンフやチラシでよく使われる折り加工をご紹介

今回のテーマはチラシやパンフレットの印刷物でよく使われている折り加工をご紹介します。
チラシやパンフレットで必要となる折り加工は様々な注意点が必要です。

チラシで2つ折りや3つ折りなど、折られた状態で印刷物をみることがあると思います。

印刷物は印刷した後に折り加工という工程で様々な折りが可能となります。
仕上げた平の状態から2つ折りにしたり、封筒に入れる為に3つ折りにするなど、用途に応じて加工ができます。

この記事の内容について
  • 折り加工の種類
  • チラシでの折り加工の活用事例と3つの注意点
  • パンフレットでの折り加工の活用事例と3つの注意点
  • 特殊な折り加工
目次

折り加工の種類について

チラシやパンフレットを印刷した後に加工が必要なものは折り加工の工程に入ります。

折り加工には一体どんな種類があるのかをご紹介していきます。

ここでご紹介する折り加工は普段よく使用される代表的なものをあげております。

2つ折り

一番よく使われる折り加工としては2つ折りという加工があります。

A4サイズのチラシを2つ折りにしてA5サイズにしたり、A3サイズのパンフレットを2つ折りにしてA4サイズにするなど一番多く使用される加工の一つといえます。

2つ折りの場合はセンターと呼ばれる印刷物の中心部分から折るので、丁度半分のサイズになります。A3の場合はA4仕上がりサイズになります。

2つ折り加工は最もよく使用される折り加工の一つです。半分に折るという単純な加工ではありますが、紙が厚くなる場合は筋入れという工程を挟みます。あまり紙が厚くなると折った時に折り目が綺麗につかない事もあり、筋入れを行うことで折り加工がスムーズにかつ綺麗にできるのです。

筋入れする紙厚の目安は4/6判サイズで135㎏の紙厚以上となります。

3つ折り

次によく使用される折り加工は3つ折り加工です。3つ折り加工には大きく分けて内側に折りこむ巻き3つ折りと外側に折りこむZ折りと呼ばれるものがあります。

文字通り平状態の印刷物を3つに折る加工となります。

巻き3つ折りは印刷されたA4サイズのチラシなどを内側に巻き込みます。3つに折り込んだサイズがA4になる(A4×6P)パンフレットもよく使用されています。

4つ折り(十字折り)

次は4つ折り(十字折り)の紹介となります。

先程の3つ折り同様に文字通り4つに折る加工となります。A3サイズであれば2つに折って、さらに2つ折りすることで折ったサイズがA5サイズになります。

よく使用されるパターンとしてはB3サイズの折込チラシなど4つ折りにした(B5サイズ)のものをDM用として使用したり、学校関連のポスターを4つ折りにして送ったりすることもあり、ポピュラーな折り加工の一つです。

4つ折り(十字折り)4面に折り込む加工となります。ポスターやチラシなどDM発送用としてもよく使用される折り加工となります。

観音折り(両観音折り)

パンフレットによく使用される折り加工としては観音折りが代表的です。観音折りは展開した4面の状態を両側から折りこんで、更に真ん中(センター)で2つ折りにした折り方となります。

A4サイズのパンフレットを幅広く展開したい時によく使われる折り加工で、A4サイズ中綴じの8Pパンフより視覚的に効果があがります。両側を内側に折ることから両観音折りと呼ばれています。

印刷した状態は横長の幅広い感じになりますが、両サイドを内側に折りこみ、更に真ん中で折りこむ事でA4サイズになります。1面で表現したいデザイン要素が強い場合によく使用される折り加工となります

チラシでの折り加工の活用事例と3つの注意点

ここではチラシで折り加工が必要な際の活用事例と注意点をご紹介します。

チラシでの折り加工の活用事例

  • ポスティングされるチラシは2つ折りが活用
  • 封筒に入れて納品する場合は巻き3つ折りが活用
  • 誌面の大きなA3サイズ以上のチラシはDM折りが活用

ポスティングされるチラシは2つ折りが活用

自宅のポストに投函されるチラシはポスティングによるものが多くなります。
チラシを折らない状態ではポストへ入れにくいこともあり、2つ折りで投函される事が多くなります。

封筒に入れて納品する場合は巻き3つ折りが活用

長3封筒(120㎜×235㎜)の封筒でよく郵便物が届くことがあると思いますが、その中に商品やサービスの案内チラシが同梱している事がほとんどではないでしょうか。定型サイズの封筒に封入するためにはA4サイズのチラシであれば3つ折りにした状態で封入する必要があります。

封筒に入れるには巻き3つ折りにして封入します。

誌面の大きなA3サイズ以上のチラシはDM折りが活用

印刷物がA3サイズを超える大きな場合は更に折り加工を重ねて小さくした状態で封入をおこないます。

その際に使われる折り加工はDM折りという折り加工をおこないます。

先程の3つ折り加工をした後に更に2つ折りをおこないコンパクトな状態にして封入などをおこないます。

チラシでの折り加工の3つの注意点とは

チラシを折り加工する上で注意するべき3点とは何でしょうか?

  1. 紙が厚いと複雑な折り加工の際はシワになったり、折り目が割れることがある
  2. 印刷する前に折る箇所に折りトンボなどを作成する必要がある
  3. 印刷物がベタ(黒などの濃い色)が多く使用されている場合は折り加工で汚れることがある

紙が厚いと複雑な折り加工の際はシワになったり、折り目が割れることがある

チラシなどで使用する紙は大抵薄い紙を使用することがほとんどですが、稀に高級商品を取り扱う不動産のチラシや車のチラシなどで110㎏や135㎏の厚みの紙を使用することもあります。

2つ折りや3つ折りあたりなら問題ありませんが、DM折りや更に複雑な折りをする場合は紙厚があると折った際に膨らんでしまい、折り目がシワになったり、割れる(紙の表面が削れるような現象)ことがあり、印刷物の見栄えが悪くなってしまいます。複雑に折りこむ際には、あらかじめ紙の厚さを薄くする事で回避することができます。

折り加工の際に紙が厚いと折りシワになったり
割れの原因を招きます。

印刷する前に折る箇所に折りトンボなどを作成する必要がある

チラシで折り加工をする場合に折りこむ位置をあらかじめ指定する必要があります。

印刷物は印刷する前段階で製版という版を作成する工程をおこないます。印刷する前にトンボと呼ばれるサイズや位置を決める目印を作成しますが、折り加工をする場合にも折りトンボと呼ばれるものを入れることで、その位置が目印となり折り加工時にそのトンボに沿って加工されます。

製版の段階、いうならばデザイン制作の段階で折り加工が必要な場合はこの折りトンボを作成する必要があります。
特に変形サイズの印刷物(A4やB4等の規格外)を作成する場合は折り位置が定型とは違いますので注意が必要です。

印刷物がベタ(黒などの濃い色)が多く使用されている場合は折り加工で汚れることがある

印刷物ではインクの総量がある程度決まっており、黒などの濃厚な色が広範囲に印刷されると、折り加工の際にインクが乾ききらず汚れに繋がることがあります。

印刷用紙にもよりますが、比較的乾きやすいコート紙では問題はありませんが、上質紙や特殊紙でインクの吸着性が悪い紙で折り加工をする場合は汚れが生じることもありますので、十分注意が必要です。

その際には納期を余分にとるか、表面加工でニス引きをするか、UV印刷(紫外線で硬化する)での対応をすることで汚れは防ぐことが可能です。

パンフレットでの折り加工の活用事例と3つの注意点

次はパンフレットでの折り加工の活用事例と3つの注意点をご紹介します。

パンフレットでの折り加工の活用事例

  • パンフレットでの3つ折りページの活用
  • パンフレットでの観音折りページの活用

パンフレットでの3つ折りページの活用

パンフレットでは中綴じ製本や無線綴じ製本が基本となっています。
中綴じでも、無線綴じでも基本は見開いた2P分が誌面となります。

そこに3つ折り加工を挟んで、折り返して誌面にすることもあります。どうしても見開き2P分で表現できないデザインや、展開させて読んでもらう時にこの3つ折りを使用します。3つ折りは片側を巻き込むことから片観音折りとも呼ばれています。

パンフレットでの観音折りページの活用

パンフレットでは両観音折りを活用することもあります。

先程の3つ折り(片観音折り)と同じく、ワイドに展開させてデザインや誌面を見せる際によく活用されます。
中綴じの場合は表紙側に両観音を活用したり、センターページ(本の真ん中ページ)に活用される事が多くなります。

両観音折りの閉じた状態
両観音折りを拡げた状態 ワイドな誌面が展開できる

パンフレットで折り加工の3つの注意点

  1. 巻き3つ折りや観音折りを使用する場合は折り返し部分は短くする
  2. 印刷面にベタ(黒などの濃い色)が多く使用されている場合は折り部分が割れて削れる
  3. 印刷面にベタ(黒などの濃い色)が多く使用されている場合は折り加工で汚れることがある

巻き3つ折りや観音折りを使用する場合は折り返し部分は短くする

パンフレットで3つ折り加工や観音折りを使用する場合は必ず折り返しするページ誌面は短くする必要があります

パンフレットはページ数が多いこともありますが、紙を折り返して巻き込むときには紙の厚みを考慮する必要があります。

折り返しするページを同じサイズで作成してしまうと、折った厚みでページが開きづらくなったり、かさばったりして膨らみが生じてシワや折り部分が歪んだりする事もあります。

そのことを防ぐ為には、必ずデータ作成時のデザイン制作においてページ誌面を短くする必要があります。

3つ折りの場合は折り返す片側がA4パンフであれば207㎜にして正規のA4サイズのワイド幅210㎜より3㎜ほど短くする必要があります。これにより折った時に支障なく開く事が可能となります。

両観音折りの場合も両側のサイズを2㎜~3㎜ほど短くする必要があります。A4サイズのワイド210㎜より両側のサイズを2~3㎜短くする事で折った時にスムーズに開く事が可能となります。

印刷面にベタ(黒などの濃い色)が多く使用されている場合は折り部分が割れて削れる

チラシの時にもお伝えしましたが、パンフレットにおいても折り加工する箇所に印刷ベタと呼ばれる濃度の濃い部分が折り加工することによって割れて、インクが剥がれて紙の白がでてくることがあります。

紙の厚みが厚いほど、割れが出やすくなりますので、デザインでベタを使用する場合は注意が必要です。ベタを使用している限り割れを完全に防ぐことは難しく、ある程度了承を頂く必要があります。

表紙であればPP加工(表面にフィルムを貼り加工する)の処理をおこなうことで、ある程度割れを目立たなくできます。

印刷ベタ部分の折り加工による割れ 

表紙に濃紺のベタを使用した場合、折りの部分は割れが生じます。

印刷面にベタ(黒などの濃い色)が多く使用されている場合は折り加工で汚れることがある

これもチラシでお伝えした内容と同じで先程ご紹介しましたように、印刷面でベタがある場合は折り加工した際に擦れることにより、汚れがでてしまいます。対策としては紙質にもよりますが、表面保護の効果があるニス加工をするか、UV印刷で汚れないように工夫する必要があります。

特殊な折り加工

ここまで印刷物で使用される代表的な折り加工をご紹介してきました。

折り加工にはまだまだ特殊な折り加工がたくさんあります。ここではそのほんの一部をご紹介しておきます。

DM折り

先程も少しご紹介しましたが、DM折りと呼ばれる折り方があります。

その名の通りDMを送るにあたり活用される事が多く、特徴としてはA3サイズぐらいの大きな印刷物をコンパクトにしてお届けする時によく使用される折り加工です。

DM折り加工は3つ折りと2つ折りをミックスした折り加工です。3つ折りは内側に折りこむ場合と外側に折りこむ場合と用途に応じて使い分けされています。

蛇腹折り

蛇腹折り(ジャバラ)とは同じサイズの面を連続的に数回折り返していく加工となります。

商業施設などのフロアーガイドや商品案内でも連続的に商品ラインナップを紹介したい時など用途は様々です。

6面蛇腹や7面蛇腹などの言い方をすることも多く、折った状態がコンパクトになるために手に持ちやすいサイズになったり、パンフレットを置くスペースが無い場所でも効果的に使用できます。

蛇腹折りも複数回折り加工をしていくことになりますので、先般のように紙が厚いと折りづらくなり、すべての面が綺麗に揃わないこともありますので、紙の厚さには注意が必要です。紙の厚みとしては、4/6判サイズの90㎏や薄くてもOKであれば70㎏ぐらいがおススメではないでしょうか。

蛇腹折り加工は展開しやすい加工でもあり、折り込んだ際に仕上がったサイズがコンパクトになる為、とても便利です。ただ1面のサイズが同じサイズになるため面数が多いときは紙を薄くするなどして加工時に注意をしましょう。

この他にもまだまだ数多くの折り加工が存在しますが、折り加工が複雑になれば、機械で折ることができなくなったり、特殊な折り加工は折り加工会社の機械設備により、加工ができるかどうかが決まります。

特殊な折り加工で印刷物を作成される場合は必ず、折り加工ができる会社のチョイスや使用する紙質や厚みなどを考慮にいれてオーダーすることが重要です。

まとめ

今回はチラシやパンフレットでよく使われる折り加工についてご紹介してきました。

折り加工にも一般的によく使用されている加工から特殊なものまで幅広く存在します。

その中でもよく使用される折り加工としては4つの加工内容をご紹介してきました。

  • 2つ折り加工
  • 巻き3つ折り加工/Z折り加工
  • 4つ折り(十字折り)加工
  • 両観音折り加工

チラシやパンフレットにおける活用例や注意点もご紹介しました。

チラシでの折り加工の活用事例

  • ポスティングされるチラシは2つ折りが活用
  • 封筒に入れて納品する場合は巻き3つ折りが活用
  • 誌面の大きなA3サイズ以上のチラシはDM折りが活用

パンフレットでの折り加工の活用事例

  • パンフレットでの3つ折りページの活用
  • パンフレットでの観音折りページの活用

チラシでの折り加工の3つの注意点とは

  1. 紙が厚いと複雑な折り加工の際はシワになったり、折り目が割れることがある
  2. 印刷する前に折る箇所に折りトンボなどを作成する必要がある
  3. 印刷物がベタ(黒などの濃い色)が多く使用されている場合は折り加工で汚れることがある

パンフレットで折り加工の3つの注意点

  1. 巻き3つ折りや観音折りを使用する場合は折り返し部分は短くする
  2. 印刷面にベタ(黒などの濃い色)が多く使用されている場合は折り部分が割れて削れる
  3. 印刷面にベタ(黒などの濃い色)が多く使用されている場合は折り加工で汚れることがある

最後に特殊な折り加工として2つの折り加工を紹介しました。

  • DM折り加工
  • 蛇腹折り加工

印刷物を作成する上で、折り加工の要素は重要となってきます。

印刷物をスムーズに納品するためにも折り加工の特性や注意点をご理解頂き、発注されるご担当者やデザイナー様をはじめ少しでも多くの方に内容をお伝えできれば幸いです。

印刷加工は非常に奥深いものではありますが、また色んな情報提供ができるようにしていきます。

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この記事を書いた人

製版・印刷関連の営業職を20年以上続けており、
日々の仕事で経験した色々な知識やエピソードを紹介していきます

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